頭痛薬の過剰使用に伴う頭痛

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頭痛薬の過剰使用に伴う頭痛

 頭痛の治療薬として使用している鎮痛剤やエルゴタミン製剤を過剰に慢性的に使用すると元々の頭痛とは異なる型の頭痛がおこってきます。鎮痛剤誘発性(乱用性)頭痛、エルゴタミン誘発性頭痛、薬剤乱用を伴う慢性連日性頭痛などと称される頭痛です。

 鎮痛剤、あるいはエルゴタミンを3ヶ月以上連用(乱用)すると、月に15日以上頭痛をきたすようになり、これらの薬剤の使用を中止すると1ヶ月以内に頭痛が消失します。

 鎮痛剤乱用による頭痛はアスピリンを1ヶ月に50g以上(バファリン、1日5錠を毎日内服に相当)又は、他の鎮痛剤、NSAIDsで相当量を使用した際に起こりうるとされています。

 エルゴタミンによる頭痛は、毎日2mg(2錠)以上のエルゴタミンを連用した際に起こり、頭部全体の拍動性の頭痛ですが、発作性が不明確なこと、随伴症状を伴わないことで片頭痛と区別が可能です。

 鎮痛剤、エルゴタミンは頭痛の治療のために用いる薬剤でこれらが頭痛の原因になっている点が問題です。使用を中止すれば元来の頭痛には戻るのですが、患者さんは頭痛がするから使用しているので、薬を飲むから頭痛が悪化しているということを説明してもなかなか理解していただけないことが多く、こじれて難治性になることが多いのです。薬剤性頭痛の可能性があるかもしれないと感じたら早めに専門医に相談してください。

 2003年の改訂国際頭痛学会の頭痛分類と診断基準では慢性片頭痛のカテゴリが設けられ、薬剤、原因物質に関連した頭痛の項にはトリプタン過剰使用による頭痛の項が加わります。


(国際頭痛学会1988、頭痛研究会邦訳)